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子どもに無煙環境を 一柳 邦男 山形県喫煙問題研究会 会長 山形大学医学部名誉教授(麻酔科学)
(第19回 全国禁煙教育研修会 抄録のご挨拶から引用) 2002年8月3-4日 上山温泉にて
私が幼いころ、父方も母方も大人は皆よくたばこを喫いました。大人とはたばこを喫うもの、大人はたばこ、という思いが幼い私の脳に植えつけられました。20歳になるやならずに私はたばこを喫い始めました。妻や幼い子どもを乗せた車の中で喫うという、赤面汗顔の蛮行も犯しました。息子は喫煙者になりました。 30歳を過ぎたある夜、当直室の闇の中で突然息苦しくなり、自分の肺がヒュウヒュウ鳴るのを聞いたとき、「あ、やっぱりきたか、これは止めなければならないな」と思いました。しかしそのとき私は既に、今でいう「喫煙は病気」という状態になっていました。ありとあらゆる愚かしい試みと戦いの結果、やっと止めることができたのは、止めようと思い立ってから25年の後でした。息子も止めるのに10年以上はかかったようです。 人間はなぜこれほど愚かな戦いを強いられるのか。それは子どもたちがまだ物心つかないうちに、善悪の理解ができないうちに、たばこの煙に曝されるからです。可憐な子どもたちに対するこれほど犯罪的な大人の行為がなぜ許されるのか。大人に被害者、加害者の自覚がないからです。被害者である喫煙者が被害者であり続けるのは悲しいことですし、被害者が罪の意識を持たずに加害者に換わってしまうのは恐ろしいことです。 子どもたちに無煙の環境を与えるために、世の親たち、教師たち、先輩たち、世の全ての大人たちを加害者であることから解放するために、この研究会が開かれます。過去18回も開かれて来たこの会は、わが国の喫煙率を下げるのに大いに貢献してきたはずです。今回もこの問題で働いてきた多くの先達に集まっていただきました。皆さんの真摯な発言によって大きな成果が上がることを期待しましょう。
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